【雑記】 ハイブリッド・キャットの未来

(この記事はネコジルシの日記からの転載です)


さて、日曜日にこんな番組が放送されたのをご存知でしょうか。

(テレビ朝日系)素敵な宇宙船地球号
 - 出現!ハイブリッド猫の秘密・ペットブームの光と影 Vol.4

猫関連ということで、興味を持ってご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

(出典: 素敵な宇宙船地球号 - 出現!ハイブリッド猫の秘密・ペットブームの光と影 Vol.4)


私自身、過去にトイガーアシェラについての話題をネコニュースに投稿させてもらったこともあり、録画しておいてじっくりと興味深く拝見し、さらに色々と考えさせられました。

しかし、ちょっと捉え方が表面的な部分をなぞっているだけのようで、30分という制約の中で人目を惹かなければならないテレビ番組でのこととはいえ、もう少し深い考察や切込みがあってもよかったのにと、思う面もありました。

人間の目的に合わせて品種改良を進める血統種のブリーディングに対しては、否定・肯定入り混じった様々な意見があることと思います。しかし敢えて肯定派か否定派かと問われれば、私自身は、番組に登場したサイモン・ブローディ氏ほど積極的ではありませんが肯定派の部類に入るのだろうと思っています。

番組では、ライフスタイルペッツ社のビジネスライクな企業姿勢やサイモン・ブローディ社長のアシェラを高級ブランド品のようなステータスシンボルになぞらえる発言など、動物好きの人が嫌悪感を抱きやすい演出はあったかと思います。しかし、こうした人間の目的に基づく品種改良は、人が動物を家畜化し始めて以来、相当な昔から行われてきたことです。ただ、犬の場合は今ではその目的が、使役から愛玩に変わってきているに過ぎません。猫の血統種の創出については歴史が浅いこともあり、そもそもが容姿の珍しさや飼いやすさを追い求めての品種改良であったわけで。野生種の導入も、家畜品種改良の歴史の中ではごく当たり前のことですし、猫について言えば既にベンガルサバンナという前例もあるわけで、アシェラだけを特別視する材料にはなりえないでしょう。

人のパートナーとしてより望ましい容姿や性質を追い求めて改良・創出された血統種には、特に生き物との付き合いをこれから始めようとする人々にとっては、むしろ良い面も多いのです。特に、血統種の成長に伴う容姿の変化や性格が予測しやすいという側面は、「飼ってみたらイメージと違っていた」という、ありがちな相性の不一致による不幸を少なくできる重要な要素です。アシェラが特別であるのは、人のパートナーとしての望ましさとは方向性の異なるニーズによる、危険動物と紙一重の大きさ・気性の荒さの部分。そして、ビジネスの枠組みの中で新品種の創出が驚くべき短期間に行われたという事実の方を、はるかに重要視しなければいけないのかもしれません。

このアシェラ、日本国内で販売を始める準備も進められているそうで、もしかするとそう遠くない将来に、私達の近くの公園を闊歩する姿が目に触れることになるのかもしれません。
※既に2007年12月の段階で、株式会社アイテンプという企業が日本代理店として予約販売を行っていたようです。

さて、この番組をご覧になられた他の皆様は、どんなご感想をお持ちになられましたか?

経緯はともかく、この世界に生まれ出てきたアシェラたちには不幸な未来が訪れないことを切に願うばかりです。

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